第1回ジャパンSDGsアワード報告会『受賞者の取組事例紹介と講評』に参加

2018年1月20日(土)、東京・富国生命ビルにて、「第1回ジャパンSDGsアワード報告会『受賞者の取組事例紹介と講評』」が開催されました。
第1回目となる本アワードは、2015年に国連で採択された持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けて、優れた取組を行う企業・団体等を表彰する制度。日本政府全体として、SDGsに関する具体的な活動を表彰し、発信する初の試みとなっています。
今回表彰された、12の企業及び団体の中で、特別賞(「SDGsパートナーシップ賞」)を受賞した吉本興業は、7番目にプレゼンテーションを行いました。
2018.01.20
外務省 国際協力局 地球規模課題総括課長・甲木氏の挨拶が行われ、本アワードは、まずはSDGsを知ってもらうことと、その後アクションを起こしてもらうことを目的としており、特にその行動のところに重点を置いているので、今回の受賞企業・団体らフロントランナーの取組を参考にしてもらいたいと思っていることが述べられました。

続いて内閣総理大臣賞を受賞した北海道・下川町による、SDGsを取り入れた街づくりについてのプレゼンテーションが行われ、甲木氏からは「地方創生の見本と言える取組」、朝日新聞社 報道局デスク・北郷氏からは「経済も社会も環境も統合して取り組んでいるところが他の地域にも参考になる、ある意味すごく先取りをしている」などと講評を受けていました。

その後もパルシステム生活協同組合連合会やサラヤ株式会社、住友化学株式会社等の受賞者のプレゼンテーションが続き、いよいよ特別賞を受賞した吉本興業のプレゼンテーションへ。
昨年1月から社を挙げてSDGsへの取組を始めたこと、まずは吉本興業全社員を対象とした「SDGsキックオフ講演会」を実施し、全社員がSDGsについて知ることからスタートしたこと、 また、それ以前となる2011年から『あなたの街に住みますプロジェクト』を立ち上げ、全国47都道府県に「住みます芸人」を居住させ、笑いの力による地域活性化を手伝っていることや、芸人たちが被災地を訪れ、漫才やネタを披露する『よしもとあおぞら花月』を開催していることなどを紹介しました。

社会への発信・訴求例として、昨年4月に開催された『島ぜんぶでお~きな祭』では、SDGsオリジナル動画を県内14会場で放映したこと、スタンプラリーや写真展等のSDGsコラボレーション企画を実施したことを報告し、今年4月の『島ぜんぶでお~きな祭』では JIMOT CM × SDGsのコラボレーション企画として、「みらいへつなぐ、じもとのちから」をテーマとした映像募集を行い、映画祭期間中にイベントを開催予定であることを発表しました。

昨年8月に北海道で開催された『みんわらウイーク』にて、「SDGs-1グランプリ」が開催されたことや、今年はウォーキングイベント「ラフ&ピースウォーク2018」を計画していること、また10月に開催された『京都国際映画祭』では、SDGs吉本新喜劇に挑戦し、西本願寺でマスコミ向けに囲み取材を実施したことなどを紹介し、これらのイベントのメディア露出の様子を具体的な媒体数を挙げて説明しました。

最後に吉本興業が行政やNPO、教育機関やマスコミと一緒に行った活動についても紹介し、PR動画『SDGsについて考え始めた人々』を紹介しました。

外務省の甲木氏より、SDGsには遊び心や軽やかさも非常に大事であること、そういった意味では、笑いを通じてSDGsの垣根を低くし、一般の方にSDGsを知ってもらう上でたいへんユニークかつ効果的な活動をしていると評価します。また、政府も一般の方に「SDGsを知ってもらう」ための活動には力を入れていることなども説明されました。

朝日新聞の北郷氏の講評では、国連の根本氏が「実は今度、吉本興業に会いに行こうと思う。お笑いの力ってすごく大事だと思う」と言っていたのを聞いていて「どうなるのかな?」と思っていたと話し、「それが今、ここまで進んだんだということが感慨深い」と述べ、「SDGsがなければこういったパートナーシップは転がっていかなかったと思うので、SDGsを手にした人がどう使うかということのすごくいい例だと思う」と評価。

さらに、「こういった形で“お笑い”を取り入れて活動していけるのは、もしかしたら世界中で日本だけなのかもしれない」と、その希少性についても言及。なんでも欧米先行で、日本は追随する立場でしかないことがほとんどの中、「“お笑いを使ってトップランナーになる”ぐらいの野心的なことを考えてもいいのではないかと思って楽しみにしている」と、今後についても大きな期待を寄せる言葉が述べられました。
全てのプレゼンテーション終了後、国連広報センター 所長の根本氏より総括が行われました。

280を超える応募作を何度も熟読して点数をつけることは大変だったが、今日受賞された方々から直接取組を伺ったことで、「苦労した甲斐があった」と大きな手応えを感じたと話す根本氏は、普遍性、包摂性、参画型、統合性、透明性という5つの軸の中での審査をした中、個人的には「誰も置き去りにしない」という包摂性を重要視して審査しました。
また、SDGsが社会の隅々に浸透し、このようなアワードまで政府が設けているのは、先進各国の中では日本が群を抜いている、「2030年まで息切れすることなく、一緒に走っていただければと思います」と期待を寄せました。

さらに、「企業・団体のレベルだけでなく、今日集まっているみなさんおひとりおひとりがこだわりたい17の目標(アクション)を考えていただきたい。それが大切だと思います」とも話し、「私自身の実践のひとつは、『食べ残しをしない』。これは2番、そして12番のアクションです」と具体例を挙げて説明。最後に「息の長いおつきあいをよろしくお願いします」と話し、総括を締めくくりました。

最後に甲木氏より閉会の挨拶として、「第1回ジャパンSDGsアワード」に280あまりの応募があったことでSDGsへの関心が高まっていることを実感したことや、本報告会がたいへん貴重な場であったと感じたことなどが話されたあと、さらに今後も「みなさんのアクションを支援していきたいと思っていますので、みなさんもうまく政府を使っていただきたい」と期待を寄せる言葉が述べられました。

報告会終了後は「ネットワーキング」として、今回受賞した企業や団体を初めとした参加者による交流の場が設けられました。それぞれの活動を知ることで、今後のSDGsの取組についてもさらなる可能性が広がるであろうことが想像される、意義ある報告会となりました。