国連広報局アウトリーチ部部長マーヘル・ナセル氏 吉本興業東京本社表敬訪問

2017年11月8日(水)、マーヘル・ナセル国連広報局アウトリーチ部部長と根本かおる 国連広報センター所長が、吉本興業東京本社を表敬訪問されました。

人類と地球の繁栄のために国連で採択された「持続可能な開発目標」SDGs(エスディージーズ)。
その普及のために一役買った吉本興業は、すでに今年から継続的なPR活動を始めています。そんななか実現したのが本日の表敬訪問。
6月にSDGsの担当責任者である国連経済社会局事務次長補 トーマス・ガス氏が訪問されたことに続き、今回はマーヘル氏が吉本興業東京本社を訪れました。
2017.11.08
吉本興業本社に入ってすぐのロビーにはマーヘル氏を歓迎して若手コンビ「蓮華」のちゃんだいが作成したバルーンアートで大きく「SDGs」の文字がデコレーションされ、よしもと芸人によるSDGs推進動画「SDGsについて考え始めた人々」が上映されています。
ロビーに到着したマーヘル氏は、動画やバルーンアート、さらにSDGsのパネルやSDGsに関する新聞記事などを通訳の方に説明してもらいながら丁寧に見て回ったあと、よしもと社員と名刺交換し、受付横のPepperくんから英語で「ようこそ日本へ、本日は、吉本興業にお越し頂き大変うれしいです。僕たちはSDGsをもっと多くの人に知ってもらい自分たちにできることを考えていくよ。これからも何卒よろしくお願いいたします!」と挨拶を受けます。

一通りあいさつがすむと、ロビーから3階に場所を移し、会議室にて改めて話し合いの場が持たれます。

まずはマーヘル氏が「本日はみなさんにお会いできたことを光栄に思っています」と話したあと、「SDGsを説明するとき、私たちはついこれを“国連のゴール”と言ってしまいますが、この言い方を正したい。“国連の”ではなく、“みんなの”ゴールなのです」と、私たち一人ひとりがSDGsをもっと身近に捉え、行動すべきであることを強調します。

また、2000年に採択されたミレニアム開発目標(MDGs)は、2015年までに数多くのものが達成されたが同時に積み残しもあったことや、知名度もあまりなく、内容的にも“みんなの”とは言えないものであったことを話した上で、「SDGsはMDGsと違って、すべての国、町、人間、動物、魚に至るまでに関係した“みんなの”ゴールと言えます。だからこそ、SDGsを達成するためには、SDGsがみんなに知られることはもちろん、“どうしたらSDGsに貢献できるか”を国や企業、個人それぞれに考えてもらわなければならないのです」と語ります。
続けて、「SDGsは世界全体の問題であり、国単位のものではない。世界の問題にも、またその解決にも国境はない。だから日本も、世界の問題を解決するために努力しなければなりません」と訴え、「先進国の後に続いて成長を遂げる国々が、干ばつや資源枯渇による紛争など、かつての先進国と同じ間違いを繰り返してはいけない」と、グリーン・グロース(グリーン成長)を提唱。また、格差社会の是正にも力を入れなければいけないと話した上で、「SDGsは、言ってみればフルマラソンのようなもの。スタミナやトレーニング、強い精神力が必要なのです」と、息の長い取り組みになることを説明していました。

一方、吉本興業からは、岡本副社長より吉本興業が現在創業105年目であることや、テレビ番組の制作を年に5000本手がけていること、芸人を中心に文化人や俳優、タレントなどのマネジメント業務を行う会社であることなどの会社の概要が説明されました。続けてSDGsの活動報告や各セクションで取り組んでいること、また今後の活動予定についての説明が各担当者よりなされました。

これまでの「SDGs×吉本興業 コラボコンテンツ」として、生沼執行役員より「未来人からのメッセージ~世界を変えるための17の目標~(SDGs紹介アニメーション)」「そうだ!どんどん がんばろう!スタンプラリー」「わたしが見た、持続可能な開発目標(SDGs)写真展」などの島ぜんぶでおーきな祭での取り組みや、「朝日地球会議2017」で開催された「SDGs大喜利」、京都国際映画祭で上演された「SDGs新喜劇」、よしもと芸人によるSDGs推進動画「SDGsについて考え始めた人々」などを紹介していきます。

また、今後の活動予定として、山地執行役員より「SDGs×JIMOT CM 2018」というSDGsを広く世界に認知してもらうためにテーマを「未来に向けて守りたい、もしくは残したい日常」としてCM映像COMPETITIONへと生まれ変わることや、MCIP横手社長より、アジア住みます芸人によるアジア各国でのSDGsに関連したイベントの展開案、また、片岡取締役より「ten years企画」という、“10年後の自国”をテーマに各国の新世代映像作家が短編を作るというオムニバスの映画企画や、「SDGs×吉本新喜劇」の次なる展開として、『SDGs誕生物語』など、国連を舞台とした新喜劇をアジアへ展開させ、SDGsの認知度を高めるアイデアなどが説明ありました。また、神夏磯センター長より、グローバル配信メディア AMAZON、NETFLIXへのコンテンツ供給や北米のAMAZONスタジオが初めて日本人を主演にしたオリジナルコメディドラマを制作する企画のアイデアなど説明がありました。

これまでの取り組みや今後の取り組み予定に聞き入っていたマーヘル氏は、「みなさんのさまざまな取り組みに感動しました」と感激をあらわにした様子で、「国連本部もぜひみなさんを直接お手伝いしたい。国連の建物を撮影に使っていただいたり、映像資料をお貸しするなど、お手伝いできることは少なからずあると思いますので、どうぞ遠慮なく直接コンタクトをとってください。ウェルカムです!」とニッコリ。

さらに、「コメディにはいろんな可能性があると思っています。“笑う”ことで寿命が延びるという医学的データもありますし、“笑う”だけですでにSDGsのゴール3『すべての人に健康と福祉を』に直接つながっていると言えます」と話した上で「私はコメディが大好きです」とマーヘル氏。

そんなマーヘル氏の理念は、すべての人がよりよい生活を送ることができる世界にしていくには「笑うこと」つまり「笑顔があふれる世界」を目指していくことが夢と希望にあふれた未来へとつながると考え、自社にしかできない方法でSDGsのPRにつとめていきたいとするよしもとのSDGsに対する基本理念にも通じているものでした。

最後に全員で記念撮影をして、この日の訪問は終了。マーヘル氏との相互理解も深まり、今後ますますの連携が期待される、実りある表敬訪問となりました。