コーポレートガバナンスの強化等について

 当社は、2024年度以降の中期経営計画の策定に当たり、更なるコーポレートガバナンスの強化等に向けた対応方針をまとめましたのでお知らせいたします。中期経営計画は、当社の将来を担う若手・中堅社員の意見を広く取り入れ、様々な実務家・有識者のアドバイスを受けながら、昨今の社会情勢や価値観の多様化などを踏まえつつ、2030年度に向けた当社の経営上の重点項目を定めたものです。コーポレートガバナンスはその基礎になるという認識から、従前より強化に取り組んでまいりましたが、このたび、人権及びSNSに関する指針を加えるなど、新たな対応方針をとりまとめました。また、昨年末以来の当社所属タレントをめぐる一連の報道について、ガバナンス委員会より真摯に対応すべきであるという指摘も受けておりますので、これまでの対応につきまして併せてお知らせいたします。
1.コーポレートガバナンスの強化等
(1)ガバナンス体制の強化
 当社は、昨年7月以降、社外有識者を交えたガバナンス委員会を設置した上、複数の外部弁護士をコンプライアンスアドバイザーとして招聘するなど、ガバナンス体制の整備・強化に努めてまいりました。
 今後も、ガバナンス委員会や外部有識者の指導・提言等により、実効性あるガバナンス体制を構築し、時代の趨勢・社会の変化等を的確に捉えながら、それらを業務遂行に反映させるとともに、事業会社としての在りようを常に意識しつつ、経営方針等について、不断の見直しを図ってまいります。
(2)コンプライアンスの周知徹底
 当社は、より一層、関係者の皆様から信頼され、ファンの皆様から愛され応援していただける企業を目指して、コンプライアンスアドバイザーをはじめとする様々な外部有識者からの指摘・助言を得ながら、全ての社員及び所属タレントに対する教育・研修を充実させるなどし、日常業務における法令遵守はもちろんのこと、社会規範・倫理に対する意識の徹底も図ってまいります。
 また、契約条項の見直しや吉本興業グループ行動憲章の周知徹底などにより、私的領域も含めたコンプライアンスに対する意識の向上を図ってまいります。
(3)人権の尊重・人権ポリシーの策定
 2011年に国連人権理事会で採択された「ビジネスと人権に関する指導原則」に象徴されるとおり、今や企業活動において様々な人権に配慮し、個人の尊厳を尊重することは、世界の趨勢となっており、いわゆる芸能活動も例外ではありません。
 当社も、吉本興業グループ行動憲章におきまして人権の尊重を掲げておりますが、今般、新たに人権ポリシーを策定し、改めて人権尊重の姿勢を全社員及び全所属タレントに周知徹底することにしました。
 併せて、各種ハラスメントの根絶に向けても取り組んでまいります。
 そして、日本のみならず、世界を舞台として、国・地域・世代等を超えた様々な方々に受け容れられ、たくさんの方々に安心して楽しんでいただける「笑い」を届けてまいります。
(4)SNSポリシーの策定
 昨今のSNS等の普及に伴い、誰もが容易に個人の意見や思いを発信できる時代となりました。当社も、こういった自己表現・自己実現の場の広がりは大いに歓迎するところですが、他方で所属タレント等の不用意・不適切な発言等により関係者の皆様にご迷惑・ご心配をお掛けする事態も生じており、大いに反省するところです。
 そのため、定期的な研修等を通じて、SNS等による発信についての注意喚起をしてまいりましたが、より一層、全社員及び全所属タレントに表現者としての責任と自覚を促すべく、新たにSNSポリシーを策定し、改めて他者を敬いつつ表現することの重要性を周知徹底することにいたしました。
 一方、様々な媒体・SNS等の普及に伴い、残念ながら、根拠のない所属タレントに対する誹謗中傷、名誉毀損、プライバシーの侵害といった事態も見られるところであり、その状況は年々深刻化しているものと認識しております。
 当社としては、そのような看過し得ない行為に対しては、事案の内容に応じて、毅然とした対応・対策を講じてまいります。
 そして、社会活動・表現活動に携わる一員として、有為な表現の場であるSNS等が将来にわたり誰もが安心して利用できる場所となるよう社を挙げて取り組んでまいります。
2.一連の報道を受けての対応
改めまして、昨年末の一部週刊誌の報道以降、多くの皆様にご迷惑とご心配をおかけしておりますことを深くお詫び申し上げます。
 本件につきましては、当社として、真摯に対応すべき問題と捉え、事実確認等を進めるとともに、様々な教育・研修等を実施してまいりました。
 具体的には、昨年末からこれまで、外部の弁護士を交え、報道内容に関係するタレントを含め、若手・中堅・ベテラン・女性タレント等、100名以上に対するヒアリングを行ってまいりました。その中で、「不快な思いや精神的苦痛を受けた方がおられたのであれば申し訳ない」、「たとえ私生活であっても、所属タレントとしての立ち振舞いや社会人としての自覚を大切にすることを再認識した」、「タレント同士が話をして高め合う必要がある」などといった意見が聞かれました。
 これらを受け、当社としては、早急に、全社員・全所属タレントに対して、時代に寄り添う意識の醸成・徹底を図る必要性を痛感しているところです。
 今後は、ガバナンス及びコンプライアンス体制を一段と強化するとともに、各自の意識の向上・改革を目的として、随時、所属タレントに対するヒアリングを実施し、全社員・全所属タレントへの指導及び教育を徹底してまいります。
 また、既に、全社員を対象に、外部弁護士・有識者を招聘して、コンプライアンス、人権・個人の尊厳、ハラスメントの問題等を取り上げた階層別・部門別の研修等を実施したほか、例年実施している全所属タレント向けの研修において、女性有識者による講演や、社外有識者・代表取締役社長・所属タレントらによるパネルディスカッションを実施するなどしております。
 今後とも、外部有識者の意見・助言等をいただきながら、全社員及び全所属タレントを対象として、実効性のある教育・研修を実施し、時代の趨勢・価値観の多様化に沿った事業・芸能活動が行われるよう努めてまいります。
3.2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)への取組み
 当社発祥の地でもある大阪・関西での万博の開催まで残り1年を切り、当社は、企業パビリオン「よしもとwaraii myraii館」での出展に向けた作業を鋭意進めているところです。
 このパビリオンでは、SDGsの先にある本当の「いのち輝く未来」のため、笑いの新しい可能性を拡げていくことをコンセプトに、言葉や文化を超えて世界の子どもたちが笑顔でつながることができる、楽しい展示やコンテンツを展開してまいります。
 そして、これらの展示・コンテンツを全世界の方々に心から楽しんでいただくためにも、改めて、吉本興業グループ行動憲章をはじめ、様々な理念・方針等を遵守する必要性を再認識している次第です。
 なお、当社は、大阪・関西万博の開催・運営における中立性や公正性を害することがないよう、日本国際博覧会協会による公募案件を含め同協会が発注する事業は受託しないことを既に取締役会において決定していることを申し添えます。